地球研 LINKAGEプロジェクト

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地球人間システムの共創プログラム
LINKAGEプロジェクト
陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの順応的
ガバナンス:サンゴ礁島嶼系での展開

1.地球研 LINKAGEプロジェクトとは

総合地球環境学研究所(地球研)は、地球環境問題を人類共通の課題と認識し、さまざまな学問分野の基礎をもとに研究に取り組んでいる大学共同利用機関です。LINKAGEプロジェクトは、地球研の実践プロジェクトに採択され、2021年度のプレリサーチを経て、2026年度まで本研究を実施します。

本プロジェクトでは、琉球弧や西太平洋の熱帯・亜熱帯に位置するサンゴ礁島嶼系において、陸と海の水循環を介したつながりや、暮らしの中で育まれてきた生物と文化のつながりや多様性、多様な資源のガバナンスの規範・組織・制度の変遷や重層性を解明します。
得られた成果のつながりを可視化し、陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの順応的ガバナンスの強化をめざします。

2.研究対象地域

琉球弧、パラオ諸島、インドネシア・ワカトビ諸島

3.なぜこの研究をするのか

豊かなサンゴ礁の海を育む島々は、熱帯~亜熱帯にかけて広く分布しています。サンゴ礁島嶼では水は大変貴重で、そこで暮らす人々は昔から地下水や湧き水といった限られた水資源を工夫しながら大切に利用してきました。水は資源として人々の暮らしに密接に関連する一方で、その形態を変化させながら循環しており、陸と海とをつなぐ媒体としての役割も担っています。島嶼では陸と海をつなぐ水循環のスケールが小さく、私たちの生活の糧となる海洋資源を育むサンゴ礁生態系もこの水循環を介して陸と密接につながっています。このようなサンゴ礁島嶼系では、地域固有の生物や文化の多様性も育まれてきました。
しかし、近年、土地利用や社会経済の変化の影響を受けて、島嶼の水資源の枯渇や水質の悪化が生じており、水循環を介してサンゴ礁生態系の劣化を引き起こす要因にもなっています。さらに、気候変動に伴う降水パターンの変化や海面上昇、海洋酸性化や海水温の上昇も、状況の悪化に拍車をかけています。
サンゴ礁島嶼に住む人々が、脆弱性の高い水資源や水産資源、森林資源などの島嶼の限られた自然資源(マルチリソース)を持続的に利用していくためには、気候変動や社会経済の変化に対応可能な順応的ガバナンスの強化が必要です。

4.これからやりたいこと

琉球孤の島々やインドネシア、パラオなどの西太平洋の熱帯・亜熱帯にあるサンゴ礁島嶼系において、人々が水資源や水産資源、森林資源などの島嶼の限られたマルチリソースを持続的に利用していくため、

1)
各種の安定同位体、環境トレーサー、メタゲノム解析によって陸と海の水循環を介したつながりを明らかにし、気候変動や社会経済の変化によるマルチリソースの応答を把握・予測します。
自然システムユニット
次に
2)
歴史生態学的アプローチにより、島の暮らしの中で育まれてきた生物と文化のつながりや多様性を明らかにし、資源の限られた島嶼コミュニティにおける生存基盤の維持機構を解明します。
生存基盤ユニット
さらに
3)
行動科学やマルチレベルの制度分析により、順応的ガバナンスの制度・組織・意識の変遷や重層性を明らかにします。
ガバナンスユニット
また、
4)
順応的ガバナンスでは、知識(科学的、地域的、政治的)の橋渡しを重要な構成要素ととらえ、それらの関連性を可視化することで新たな価値観の創造や科学知と地域知の統合を試みます。
知の橋渡しユニット

これらの成果により、サンゴ礁島嶼系において気候変動や社会経済の変化に対応したレジリエントな自然共生社会の実現に貢献したいと考えています。

リサーチフレームワーク

5.プロジェクトメンバー

プロジェクトリーダー 新城 竜一(地球研・琉球大学)
サブリーダー     安元 純 (琉球大学)

自然システムユニット 
ユニットリーダー  安元純(琉球大学)
Bam H.N. Razafindrabe(琉球大学)
藤田 和彦(琉球大学)
栗原 晴子(琉球大学)
土岐 知弘(琉球大学)
中村 崇(琉球大学)
浅海 竜司(東北大学)
細野 高啓(熊本大学)
豊田 政史(信州大学)
井口 亮(産業技術総合研究所)
安元 剛(北里大学)
水澤 奈々美(北里大学)
飯島 真理子(産業技術総合研究所)
Chris Leong(地球研)
Armid Alrum(Halu Oleo University)
Mangidi Uniadi(Halu Oleo University)
Sudia La Baco(Halu Oleo University)
Oetama Dedy(Halu Oleo University)
Lawelle Sjamsu Alam(Halu Oleo University)
Takwir Amadhan(Halu Oleo University)
Barata La Ode Ahmad(Halu Oleo University)
Manan Abdul(Halu Oleo University)
Tarima la(Wakatobi Regency)
宋 科翰(琉球大学)
伊藤 湧人(琉球大学)


ガバナンスユニット
ユニットリーダー 久保 慶明(関西学院大学)
千葉 知世(大阪公立大学)
大野 智彦(金沢大学)
田中 俊徳(九州大学)
新保 輝幸(高知大学)
小林 邦彦(海外環境協力センター)

生存基盤ユニット
ユニットリーダー 高橋そよ(琉球大学)
中本 敦(岡山理科大学)
呉屋 淳子(沖縄県立芸術大学)
向井 大策(沖縄県立芸術大学)
李 春子(神戸女子大学)
後藤 真(国立歴史民俗博物館)
安渓 遊地(山口県立大学)
安渓 貴子(山口県立大学)
渡久地 健(名桜大学)
盛口 満(沖縄大学)
当山 昌直(沖縄大学)
伊谷 玄(くまのみ自然学校)
伊谷 美穂(くまのみ自然学校)
HONG Sun-Kee(Institution for Marine & Island Cultures, Mokpo National University)


知の橋渡しユニット
ユニットリーダー 新城 竜一(地球研・琉球大学)
友尻 大幹(地球研)
吉冨 友恭(東京学芸大学)
下地 邦輝(おきなわ環境クラブ)
立田 亜由美(おきなわ環境クラブ)
遠藤 崇浩(大阪公立大学)
松野 奈都子(日本大学)